和装履物と歩き方

健康と履物

和装履物で歩くときは、靴のように踵から着地しません。日本の芸能や武道に共通する「摺り足」を意識します。
大きく腕を振り、腰と足をねじるような靴の歩き方とは違い、膝下だけでなく股関節周辺を使って足を出す歩き方です。

昔の日本人が何日も歩いて旅ができた理由は

能楽師の安田登さんは、ご著書の『体と心がラクになる「和」のウォーキング』で、からだに無理な負担をかけず、からだの深層の筋肉を活性化させる“スローウォーク”を提唱されています。
昔の人が東海道を歩いて江戸と京都を往復したり、松尾芭蕉が『おくのほそ道』を歩いたのは、長い距離を歩けるだけでなく、からだに負担がかからないスローウォークだったからなのだそうです。

最近、健康のために紹介されるのは足幅を広く、早足のウォーキングがほとんどですが、その方法だと着地時に膝や足首への負担が大きくなります。ジョギングも同様です。

「和の歩き方」は身体の不調を改善する

足裏全体を地面に着地させる、ペタペタ歩きの「和の歩き方」でゆっくり長い距離を歩くと、からだ全体の筋肉バランス「全身協調性」が整い、肩こりや腰痛などの不調がある人には、いちばん効果的なのだとか。
さらに「和の歩き方」は大腰筋が活性化されるので、将来寝たきりになるリスクも小さくなるそうです。

安田先生の推奨する歩き方、これはまさに鼻緒のある日本の伝統的な下駄、草履を履いたときの歩き方です。
鼻緒のある履物は、靴のように足に固定されないため、踵から着地して蹴り上げるように歩くことはできず、自然とすり足に近くなります。
鼻緒を足の親指と人差し指で挟んで歩くことで、太ももの内側、内転筋が鍛えられ、骨盤が安定し、体幹が強くなります。結果的に姿勢が良くなり、猫背やぽっこりお腹の解消、腰痛防止などに効果があります。

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