種類について「下駄」

浅草和装履物店 辻屋本店 四代目 富田里枝です。
「下駄」とは鼻緒がある木製の履物。

昭和30年代までの日本では、下駄は日常の履物として使われ、和装はもちろん洋装でも靴ではなく下駄を履いている人がほとんどでした。
靴はまだまだ高価だったこと、現代のように舗装された道路が少なかったので、雨が降ると水たまりやぬかるみができ、歯のある下駄で歩くのに適していたことがその理由でしょう。

下駄の素材

かつては日用品・消耗品として日本各地で作られ、その土地柄や気候に合わせてさまざまな素材が使われていたようです。
明治維新後、機械化による大量生産で全国にシェアを伸ばしたのが広島県・福山市の松永下駄。
備後福山藩では江戸中期より製塩が地場産業となっており、燃料のアブラギリを松永湾に大量に貯蔵していました。
固くて安価なアブラギリは日用品としての下駄に適しており、松永の下駄産業は飛躍的に伸びていきます。
北海道のドロノキなどさまざまな雑木も材料とし、さらには機械化を導入することで、より早く大量の下駄を作れるようになっていきます。大衆向けの格安の松永下駄は一時期、全国の6割を占めていたといいます。

昭和40年代以降になると、日常的な履物は靴にとって代わられ、安い素材を使った下駄は次第に姿を消していきます。
また洋装の人が増えるとともに、下駄は普段づかいから和装の際に履く特別な履物としての位置づけになり、桐など高級な素材で作られるお洒落アイテムとしての下駄が残ります。

下駄の形

もっとも古くからある二本歯の<駒下駄>、前歯が斜めになっている<千両下駄>など<歯>のある下駄は、江戸時代からほぼ同じ形。
着物や帯の形は変化しているのに、履物が変わらないのは興味深いです。

昭和に入ると台にカーブを付け、底裏にゴムを貼った<右近下駄>が登場、最近では<舟形下駄>も人気となり、デザインのバリエーションが増えてゆきます。

詳しくは辻屋本店ホームページ【豆知識】をご覧ください。
「下駄の種類その1」https://getaya.jp/knowledge/geta_type/

下駄の仕上げ

桐下駄の場合、木肌の美しさを活かす<白木磨き>は素材の特徴を楽しめます。
その他仕上げの方法には、黒や朱の漆で塗ったつややかな<塗り>、焼いて木目の美しさを引き出す<焼き>、台の表面に柄を彫り込んで色を付けたた<鎌倉彫>などがあります。

詳しくは辻屋本店ホームページ【豆知識】をご覧ください。
「下駄の種類その2」https://getaya.jp/knowledge/geta_finish/

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