素材について「桐」

浅草和装履物店 辻屋本店 四代目 富田里枝です。
木目が美しく天面に現れる桐下駄は、昔から贅沢な履物だったといえます。
下駄の材料になる桐は、福島県の会津地方、新潟県の山間部などで育った桐が良質とされます。
寒さの厳しい冬と湿潤な夏という気温差の大きい地域で育った桐は、年輪の幅が狭く、粘りや光沢が備わっているからです。

桐はシソ目、キリ科、キリ属の落葉広葉樹。ゴマノハグサ科に分類されることもあります。
軽くて湿気を通さず、狂いが少ないため、下駄の他にも箪笥、琴、能面などの良質な材料として用いられてきました。
発火しづらいことから金庫などの内側にも利用されました。

桐の花

かつては東北地方を中心に各地で植栽されていましたが、現在では桐を育てる農家も激減しています。
需要が少なくなっただけでなく、後継者が育たず廃業する農家が多いためです。十数メートルの桐の木に登り、伐採するには経験や技術も要します。また桐の木を育てるには長い年月が必要。昔は女の子が生まれると桐を植え、成長するとその桐で箪笥を作り嫁入り道具にするという風習もありました。

桐下駄の価値は、年輪の本数(柾目)が多く、等間隔で真っ直ぐに通っているほど値打ちがあり、価格も高くなります。
桐の丸太から「扇取り」という切り出し方で、下駄の台を作ります。
節があったり年輪が均一でない部分を避けて取るので、ごくわずかしか材料になりません。
詳しくは詳しくは辻屋本店ホームページ【豆知識】をご覧ください。
「桐下駄の価値と見方」
https://getaya.jp/knowledge/geta_kirigeta/


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